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外資系企業が高年収となる秘訣、RSUとは?

外資系企業が高年収となる秘訣、RSUとは


外資系企業にお勤めの方や外資系企業への就職・転職をお考えの方にとって、一番気になるのは年収であることは間違いないと思いますが、年収を考えるにあたって、日本企業のような「月収+賞与」以外に、外資系企業では様々な経済的利益が付与されます。

 

代表的なものとして、RSU(Restricted Stock Units)、ESPP(Employee Stock Purchase Plan)、Stock Optionなどがありますが、ここでは従業員にとって最も利益額が大きくなることが見込めるRSUについて解説したいと思います。

RSUとは?


RSUとは、会社が従業員に対して、一定期間経過後に一括して、または、一定期間に分けて、株式と等価のユニット(交換単位権)を無償で交付する制度です。

簡単に言うと「会社が指定する期間働くと、株式をタダでもらえる制度」といった感じです。

 

例えば、入社時に入社以後3年間勤務することで給与・賞与とは別に、自社株式合計300株を3年間に分けてに支給するというような雇用契約書にサインした場合、入社から1年経過後に100株、2年後にさらに100株、3年後に残りの100株が自分のものとなる、といった格好です。

株式投資をしたことがない方にとっては、株をもらえることの何がすごいのかと感じてしまうかもしれませんが、株式の価値は「株式数*株価*為替(ドル円、ユーロ円など)」で決まり、円換算した時にかなりの金額になることが少なくありません。

 

特に新興企業の場合、将来への期待感から株価が大きく上昇することも少なくありませんので、RSUを付与されたタイミングでは数百万円の価値になる予定であったものが、株価が大きく上場したことによって自分のものになるころには数千万円という価値になるケースもちらほら見られます

 

自分のものになった株式は市場で自由に売却できるので、大きな買い物をしたい場合や後述する税金支払いに充てたい場合などは、売却して日本の銀行口座に送金することができます。

RSUの目的


RSUが給与・賞与以外の重要な年収決定要素であることはご理解いただけたかと思いますが、なぜ回りくどく勤務期間に応じて株式を付与するのでしょうか。

それはズバリ、優秀な社員をretainするためです。

 

RSUは入社時に付与されるほか、パフォーマンスに応じて随時付与されることが一般的です。

毎年RSUを付与されるような優秀な社員は、将来もらえる予定のRSUが目の前にぶら下がった状態では転職を思いとどまり、自社で引き続き高いパフォーマンスを発揮してくれる可能性が高まります。

 

このようにRSUは従業員の離職率を引き下げ、また、RSU付与による従業員のモチベーションアップが会社業績の向上につながり、結果として株価上昇が上昇し、従業員のモチベーションがさらに上がるというサイクルを生み出すことから、「黄金の手錠」とも言われています。

RSUで資産形成


株式のことはよくわからないという方や、株価や為替は変動するのでRSUに期待していないという方も少なくありませんが、当事務所にご相談にお見えになられる方々は皆さんRSUによってかなりの金額の資産形成ができていると思います。

 

会社やご本人のパフォーマンスにも左右されますが、通常給与+賞与(=源泉徴収票上の年収)以上の金額をRSUで受け取られている方も多く、通常給与+賞与にRSUを合わせて20代で数千万円の年収を稼がれている方もいらっしゃいます。

 

投資ポートフォリオの面からは、RSUによって株式を取得するということは、通常給与を受け取り、即時、自社株を購入しているのと同じ状態です。このため、日本円での現預金資産である通常給与と異なり、RSUは外貨での株式投資資産となり、資産の分散効果も期待できます。

2022年は大幅に円安が進んだことから、円建て資産の価値は下がった一方で、外貨建ての資産価値が大幅に上昇し、RSUを通じた外国株式投資資産に多額の為替差益が発生しているケースが多く見られました。

RSUの税金


これまではRSUの良い面を中心に記載してきましたが、RSUにはデメリットもあり、代表的なものが多額の税金です。

 

RSUは通常の給与・賞与と異なり、外国親会社から直接RSUを付与される形態が多く、もらった株式についての税金は自分で計算して確定申告をする必要があります。

普段の給与については源泉徴収や年末調整によって自動計算されているため、ほとんど意識する必要がありませんが、RSUについては自分で円単位の納税額を計算して確定申告と納税手続きを行わなければいけないのです。

 

また、既に触れてきたように、RSUはかなり大きな金額になることが少なくありませんので、必然的に納税額は多額となります。また、RSUを受け取るだけではなく、付随して配当収入があったり、株式を譲渡して売却益あったり、売却資金を日本に送金して為替差益があったりと、確定申告の内容が非常に複雑になる場合があります。

このような場合でも自分で証券会社の明細から利益額を計算して正しい確定申告をする必要があり、この大変さと税金支払いが最大のデメリットといえます。