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【知らないと損をする】相続対策に重要なのは「時間」

相続対策に重要なのは「時間」


相続について親子間で話し合っておかないといけないと分かっていても、ついつい後回しにしてしまっていないでしょうか?

今回は、相続税対策に重要なポイントは「時間」であるということについて綴っていきたいと思います。

何らかの相続対策をしている家庭は約4割


ある調査によると、何らかの形で相続税対策をしている家庭は全体の約4割という結果が出ています。

これを多いと捉えるのか、少ないと捉えるのかは判断が難しいところですが、兄弟姉妹間の金銭的な利害が関係することや親・子間でお互いに懐事情を探ることに抵抗があるなどの理由で、有効な相続税の節税対策があるにもかかわらず、十分な対応をせず時間だけが経過してしまうというケースは往々にしてあります。

相続税対策に重要なのは「時間」


相続対策は、①即効性のある対策と②即効性のない対策の2種類に分かれます。

 

①の即効性のある対策としては、生命保険の活用、非課税財産の購入(墓地・墓石など)、養子縁組などが考えられますが、これらの対策は、比較的手軽に導入することができる一方で、相続税の節減効果が限定的である点がデメリットとなります。

 

大きな節税効果を得るためには、しっかりとした計画に基づき、中長期での対策をおこなう必要があります。

具体的には、①不動産や非上場株式の評価額を引き下げるための対策(賃貸物件の建築・小規模宅地の特例など)、②不動産等が相続発生まで生み出し続けるキャッシュの流れの管理、③計画的な贈与(暦年贈与・特例贈与)、④二次相続対策などが挙げられます。

 

これらの項目をしっかりとしたシミュレーションに基づき実施することで、数百万円、数千万円単位の節税を行うことも十分に可能ですが、特に②・③の対策については、時間の経過とともにどんどんと節税効果が大きくなるため、いずれ対策をするのであればできる限り早く始めておくことを強くお勧めします。

 

 

②の不動産等が相続発生まで生み出し続けるキャッシュの流れの管理については、不動産などの利益を生み出す資産を親の世代に残しておくと、毎年生み出される利益が親の世代に帰属してしまい、相続財産はどんどん大きくなっていってしまうため、そうならないように、これらの資産を事前に子の世代に移しておくことで、不動産の評価額だけではなく、これが生み出す将来のキャッシュフロー相当額についても相続財産を圧縮することができます。

 

また、③の計画的な贈与については、年110万円までの暦年贈与の他、各種の特例(配偶者控除・住宅取得資金の贈与・教育資金の贈与・結婚子育て資金の贈与)を活用することで、大幅な相続財産の圧縮が可能です。

特に年110万円までの暦年贈与については、10年で1,100万円、20年で2,200万円・・・と、時間の経過に伴って制限なく相続税評価額の圧縮が可能です。

 

そうはいっても家族・親戚の理解・同意が必要


即効性のある対策と即効性はないものの効果の大きい対策について触れてきましたが、これらの対策は、両親や兄弟姉妹、さらには他の親戚の理解や同意のもとに進める必要があります。

 

節税対策を相続対策の優先順位の1番にすることはお勧めできません。

①家族・親戚の理解・同意、②納税資金対策、③節税対策の順に検討を重ねる方法が望ましいと考えます。

 

両親の世代にある財産をどのように分けるのか、どれくらいの相続税が発生して、それぞれの相続人は負担することができるのか、全員が納得して相続税を引き下げる方法があるのか、という観点から少しずつ相続に関する話し合いを進めていただくと良いかと思います。