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法人の運営費用・ランニングコストとは?費用の具体例や用意したい額の目安を紹介!


法人の運営費用・ランニングコストとは?費用の具体例や用意したい額の目安を紹介!

会社の設立前に用意しておきたい資金と聞くと、定款認証手数料や登録免許税といった法人設立費用をイメージする人が多いかもしれません。

 

しかし法人設立の完了後、法人運営においてもさまざまな場面でコストが発生します。このような法人運営に要する費用を、運営費用やランニングコストと呼びます。

 

法人設立からしばらくの間は売上収入がありません。しかし収入がない間も運営費用の支払いは発生するため、法人の設立に要する費用だけでなく、運営費用分の資金も確保しておく必要があります。

 

しかし、「具体的にどのようなコストが発生するのかわからない」「どれぐらいのお金を用意しておくべき?」とお悩みの人も多いでしょう。

 

今回は法人設立後に発生する運営費用の具体例や、法人設立時に用意しておきたい資金の目安を紹介します。

 

運営費用(ランニングコスト)とは


運営費用(ランニングコスト)とは文字通り法人を運営するためにかかる費用です。運転資金とも呼ばれます。

 

運営費用は英語のランニングコスト(runnig cost)を訳した言葉です。ランニングには「走ること」のほかにも「運営」「管理」「経営」といった意味があり、ランニングコストという使い方では運営にかかる費用を表します。日本語の「運営費用」「運転資金」ではなく、英語の「ランニングコスト」を使う場面も多くみられます。

 

運営費用は短期間にまとまった支出が起こるというよりは、時期によって多少の変動はあれ継続的に発生する支出といえます。

イニシャルコストとの違い


イニシャルコストは初期費用や導入費用を意味する言葉です。導入時や最初のタイミングにだけ発生します。

 

人件費を例にすると、人材採用のための求人掲載費や採用後の研修費がイニシャルコスト、毎月の給料や社会保険料などがランニングコストに該当します。

 

法人設立直後はオフィスや店舗といった賃貸物件の初期費用、備品の購入、設備投資等さまざまな支出が発生します。これらはすべて導入時のみ発生するイニシャルコストです。法人設立直後は運営を始めるためのさまざまな準備が必要なため、必然的にイニシャルコストが発生しやすい時期となります。

 

運営費用の具体例


前提として、運営費用は固定費と変動費の2種類に分けられます。

 

固定費とは売上の増減に関係なく継続的に発生する費用です。変動費は売上の増減に比例して金額が動く費用を指します。

 

この章では運営費用の具体例を固定費と変動費に分けて紹介します。

固定費


運営費用のうち、固定費に該当する費用として以下の例が挙げられます。

 

  • 家賃

オフィスや店舗といった賃貸物件の家賃は固定費に該当するランニングコストの代表例です。

 

  • リース料

複合機やレジスター等、器具備品のリース契約をしている場合にかかります。

 

  • 保険料

保険料は基本的に金額が一定のため固定費に該当する費用です。

 

  • 減価償却費

固定資産の取得価格を耐用年数に応じて分割し、毎期費用計上する処理を減価償却費といいます。減価償却費は、減価償却によって算出された費用を計上する際に用いる勘定科目です。

 

  • 顧問報酬(支払手数料、支払報酬料)

税理士や社労士等と顧問契約を結んでいる場合、毎月定額の顧問報酬を支払います。

 

変動費


変動費に該当するランニングコストの例を紹介します。

 

  • 原材料費

売上の増減と直結する要素であり、変動費の中でも特に時期による増減が大きい費用です。

 

  • 仕入原価

原材料費と同様に、売上の増減によって大きな影響を受けます。

 

  • 販売手数料

販売を委託している業者や会社に支払う手数料です。似た用語である「支払手数料」との違いとして、商品・サービスの販売に直接関係する手数料のみが該当する点が挙げられます。

 

  • 外注費

外部の個人や法人に業務委託をした際に払う報酬や手数料です。

 

固定費・変動費が混在しがちな勘定科目


同じ勘定科目の中に固定費と変動費が混在するケースもあります。固定費・変動費が混在しがちな勘定科目の例を紹介します。

 

  • 人件費

正社員の基本給や社会保険料などは毎月定額のため固定費です。

一方、残業代・インセンティブ・繁忙期のみ雇うアルバイトの給与等は売上によって増減があるため変動費に該当します。

 

  • 通信費

インターネットや携帯電話の基本料は固定費ですが、電話代や切手代のように使用量によって金額が増減する変動費の性質を持つ通信費もあります。

 

  • 水道光熱費

業務時間の変動がない店舗やオフィスの水道光熱費は月による違いがほとんどありません。

一方、業種によっては時期によって水道光熱費が大きく変動するケースもあります。この場合は水道光熱費を変動費として扱います。

 

同じ勘定科目の運営費用でも、固定費と変動費どちらに該当するかケースによって異なることがあります。「○○は固定費(変動費)」と決めつけすぎず、費用の性質を正確に押さえた上で、どちらに該当するか判断しましょう。

 

運営費用として用意したい資金の目安


法人設立の直後は売上が発生せず収入がありません。しかし法人運営や事業活動を行う以上は運営費用が発生します。すなわち法人設立にあたって、収入がない期間がある程度続いても法人運営を続けられるだけの資金の用意が必要です。

 

法人設立時に用意したい資金の額はケースによって異なりますが、初期費用+運営費用3ヶ月~半年分がひとつの目安とされています。

 

売上が発生し入金されるまで最短でも3ヶ月はかかると考えるのが良いでしょう。安定した売上収入が出るまでには半年程度かかるケースも多くみられます。したがって、初期費用とは別に運転費用3ヶ月~半年分の資金を用意しておくと安心です。

 

まとめ


法人の運営や事業活動のために要する費用を、運営費用やランニングコストと呼びます。法人設立直後は売上がなく収入がありませんが、運営費用の支払いは発生します。そのため法人設立時には、しばらく収入がなくても法人運営を続けられるだけの資金の用意が必要です。

 

今回、運営費用の具体例や用意したい資金の目安を紹介しました。今回紹介した内容を、法人設立時にどれぐらいの資金を用意するべきか考える上での参考にしていただければ幸いです。