· 

会社設立に必要な人数とは?発起人と取締役の違いも解説

会社設立に必要な人数とは?発起人と取締役の違いも解説

「会社を設立したいけれど人を集めるのは難しい」「会社設立って何人必要?」「発起人と取締役の両方が必要なの?そもそも違いは?」

会社設立時の人数について、このようなお悩みをお持ちの人も多いのではないでしょうか。

 

実は多くの場合、会社設立は1人でもできます。発起人と取締役は異なる役割を持ちますが、取締役と発起人が同じでも問題ありません。実際、法人成りは1人で行うケースが多くみられます。

 

今回は会社設立に必要な人数や、会社設立時に必要である発起人と取締役の違いについて解説します。

※今回紹介するのは株式会社の設立時に必要な人数です。

会社設立に必要な人数とは


会社設立に必要な人数は、設立する会社が取締役会設置会社であるか否かによって異なります。

それぞれ詳しく解説します。

取締役会を設置しない会社:1人で設立可能

取締役会を設置しない会社の場合、発起人1人で設立が可能です。より正確にいうと、株式譲渡制限会社(非公開会社)は取締役会の設置義務がなく、一定以上の取締役をそろえる必要がないため、発起人1人でも設立できるというイメージになります。

 

株式譲渡制限会社とは株式の譲渡制限を定款で定めている会社です。非公開会社とも呼ばれます。株式の譲渡制限という言葉の通り、会社が発行している株式について自由な譲渡ができません。株式を第三者に譲渡するには取締役会や株主総会での承認が必要です。株式の自由な譲渡ができないために、望ましくない者に自社の株式が渡ってしまう事態を防げます。

 

なお、発起人と取締役は異なる役割であり、設立時取締役は発起人が選任するのが会社法上の決まりです。ただし、発起人と設立時取締役が同一でも問題ありません。発起人が設立時取締役として就任する形であれば、最低人数である1人での会社設立が可能です。発起人と設立時取締役を分けたい場合、会社設立時に最低2人が必要になります。

取締役会の設置会社:最低4人が必要

取締役会を設置する会社の場合、会社設立時に最低4人が必要です。取締役会は取締役が3人以上、監査役が1人以上必要なため、会社設立時に必要な人数は合計4人以上となります。

 

前項で、株式譲渡制限会社には取締役会の設置義務がないと紹介しました。反対に、定款で株式の譲渡制限について定めを設けない会社には、取締役会の設置義務があります。

 

なお、株式の譲渡制限について定款に記載のない会社を公開会社と呼びます。

取締役会は設置するべき?


会社設立に必要な最低人数は、取締役会の設置義務があるかによって異なります。公開会社には取締役会の設置義務がありますが、株式譲渡制限会社も義務がないとはいえ自社の意思次第で取締役会の設置が可能です。そのため、取締役会を設置するべきか否かに判断に悩む人も多いかもしれません。

 

結論として、株式譲渡制限会社は取締役会を設置しないケースが大多数です。少なくとも、設立時には取締役会を設置しない会社がほとんどといえるでしょう。取締役会の設置には以下のようなデメリットがあり、規模の小さい非公開会社にとっては設置・開催に要する手間が大きく。

  • 取締役会を設置するために最低4人の人材を確保する必要がある
  • 取締役会は頻度や回数など法的な条件が厳しく準備の手間が大きい

 

一方、取締役会には以下のようなメリットがあります。

  • 株主総会よりも開催頻度が高い分、会社の重要事項をより迅速に決められる
  • 取締役同士の相互監督ができるため特定の取締役による独断専行を防ぎやすい
  • 対外的な信用を得やすい

※取締役会を設置するには一定以上の人数が必要なため十分な規模を持つ企業と判断される、1人の取締役による独断専行のリスクが低い等の理由による

 

ある程度規模の大きい会社にとっては、取締役会を設置するメリットも存在するといえます。

発起人と取締役の違い


取締役会を設置しない会社の場合、最低1人の発起人がいれば会社設立ができると紹介しました。その場合、発起人が設立時取締役にも就任することになります。

 

この章では、発起人と取締役の違いについて解説します。

発起人とは

発起人とは株式会社の設立に際して出資および各種手続きを行う者です。発起人の役割として以下の6つが挙げられます。

  • 出資金の払込
  • 会社概要の決定
  • 定款の作成
  • 定款認証
  • 設立時取締役の選任
  • 設立時発行株式の引き受け

出資金の額に応じて設立時発行株式を引き受けるため、ため会社設立後は自動的に対象の会社の株主となります。

 

発起人の人数には定めがありません。そのため発起人が1人でも株式会社の設立ができます。発起人は会社設立後に会社の株式を保有することから、株式会社の「所有者」とも表現されます。

 

なお、発起人は会社設立時に資本金の払込や各種手続きを行った人のみを指す言葉です。会社設立後に株主となった者や会社に関する重要な手続きに携わった者は発起人とは呼びません。

取締役とは

取締役とは設立した会社の運営を行う者で、会社の経営者とも表現できます。

 

株式会社の大きな特徴は、所有と経営が分離している点です。所有者は後に株主となる発起人、経営者は発起人によって選任された取締役となります。取締役は株主の意向に沿って会社運営を行う立場であり、取締役自身は会社の所有権を有しておりません。このように発起人と取締役が有する役割は全く異なります。

 

ただし前述のように、発起人と設立時取締役が同一でも問題ありません。発起人・取締役それぞれ最低1人ずつの計2人揃えるという必要はなく、発起人がそのまま取締役に就任することで1人での会社設立が可能です。

まとめ


会社設立に必要な人数は最低1人です。1人で会社設立ができる条件は、株式譲渡制限会社であり取締役会を設置しない、かつ、発起人が設立時取締役に就任することが挙げられます。取締役会を設置する会社の場合、取締役最低3人と監査役最低1人、合計で最低4人が必要です。

 

株式譲渡制限会社では取締役会を設置するか否かを自由に決められますが、規模の小さい会社で設置するメリットはそれほど大きくありません。そのため最初は1人で会社設立を行い、必要に応じて後に取締役会を設置するのも1つの手段です。

 

会社設立は最低1人でも実施できるためそれほどハードルが高くありません。会社設立や法人成りに興味がある人は、ぜひ本格的な検討を始めてはいかがでしょうか。