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会社設立は誰に依頼する?士業別のサービス内容や依頼するかの判断基準を解説!

会社設立は誰に依頼する?士業別のサービス内容や依頼するかの判断基準を解説!

会社設立はやるべきことが多い上に複雑な手続きも存在するため、専門家に依頼するのが効率的です。

 

会社設立関係のサポートが可能な士業として、司法書士・行政書士・税理士が挙げられます。一口にサポート可能な士業といってもそれぞれ専門分野が違うため、誰に依頼すれば良いか悩んでしまう人も多いのではないでしょうか。

 

今回は会社設立関係のサポートが可能な士業ごとに、それぞれの専門分野やサポート内容、会社設立を依頼するべきかの判断基準を紹介します。

会社設立の依頼先①司法書士


司法書士は会社設立サポートの依頼先として最も一般的な士業です。司法書士の概要や会社設立に関して依頼できる内容、依頼するかの判断基準を紹介します。

司法書士とは

司法書士とは法律や司法に関する事務の専門家です。登記業務や供託業務を中心に扱います。

 

司法書士の独占業務として以下の5つが挙げられます。

  • 登記や供託関連の手続き代行
  • 法務局へ提出する書類の作成および提出代行
  • 登記や供託に関する審査請求手続きの代行
  • 裁判所または検察庁に提出する書類の作成および提出代行
  • 上記に関連する相談業務

 

法律・司法の専門家と聞くと弁護士をイメージする人も多いでしょう。弁護士と司法書士には、対応できる範囲に大きな違いがあります。

 

弁護士は法律関係のすべてに対応可能ですが、司法書士が対応できるのは法律関係のうち登記や書類作成など法律事務の一部のみです。また認定司法書士であれば訴訟代理や支援が可能ですが、訴訟額が140万円を超過するものは弁護士の対応領域となります。

会社設立で司法書士に依頼できる内容

会社設立に関する一連の業務の中で、司法書士に依頼できる主な内容は以下の通りです。

  • 定款の作成および認証手続きの代行
  • 法務局における登記申請の代行

 

会社設立のサポートサービスを行う専門家のうち、登記申請の代行ができるのは司法書士のみです。なお会社設立時に限らず、本店所在地や役員の変更時に行う変更登記も司法書士のみ対応できます。

司法書士へ依頼するかの判断基準

会社設立について司法書士へ依頼するべきかの判断基準は、登記申請の代行をしたいか否かです。

 

前述の通り、会社設立登記の代行は司法書士のみが対応できます。会社設立に関する手続きのうち、登記申請の代行を依頼したい場合は必然的に司法書士への依頼が必要になります。

 

登記申請を自分で行う場合には、司法書士に依頼するべき絶対的な理由はないといえるでしょう。定款の作成や認証は次章で紹介する行政書士も対応可能です。

会社設立の依頼先②行政書士


行政書士とは行政手続きに関する法律の専門家です。

 

行政書士の独占業務は大きく以下の3つに分けられます。

  • 官公署に提出する書類の作成および手続きの代行、相談業務

官公署に提出する書類のうち行政書士が対応する主な書類として、許認可に関するものが挙げられます。

  • 権利義務に関する書類の作成および手続きの代行、相談業務

権利義務に関する書類とは、権利の発生・存続・変更・消滅等の効果を発生させる目的の意思表示を内容とする書類です。具体例を紹介します。

  o 遺産分割協議書

  o 贈与・売買・賃貸借・和解等の各種契約書

  o 示談書

  o 協議書

  o 定款

  • 事実証明に関する書類の作成および手続きの代行、相談業務

実地調査に基づく各種図面類・議事録・会計帳簿等が挙げられます。

 

行政書士が扱える書類の数は1万超といわれており、非常に広い範囲の対応ができます。前章で紹介した司法書士も法律事務の専門家ではありますが、司法書士は行政書士に比べて狭く深い範囲の対応をする士業といえるでしょう。

会社設立で行政書士に依頼できる内容

会社設立について行政書士へ依頼できる内容は以下の2つです。

  • 定款の作成および認証手続きの代行
  • 許認可申請全般の代行

 

定款の作成および認証手続きの代行は、前章で紹介した司法書士も対応できます。行政書士ならではの業務は、2の「許認可申請全般の代行」の方です。前述したように、許認可を含む官公署に提出する書類の作成を代行できるのは行政書士のみとなります。

行政書士へ依頼するかの判断基準

行政書士へ依頼するかの判断基準は、設立する会社で営む予定の業種に許認可が必要か否かです。

 

設立する会社の業種によっては、事業を行うために許認可を取得する必要があります。そして、許認可申請は細かな要件が定められている上に手続きが複雑です。

 

許認可の取得を確実かつスムーズに進めるには、専門家に依頼するのが効率的です。そのため、許認可が必要な業種の会社を設立する際には行政書士へ依頼するケースが多くみられます。

 

これまで紹介したように、許認可・定款の作成や認証・登記申請のすべてを1つの士業への依頼で済ませることはできません。依頼したい内容によっては、司法書士と行政書士の両方へ依頼する必要があります。

会社設立の依頼先③税理士


税理士は名前の通り税務の専門家です。

税理士の概要や依頼できる内容、会社設立時に依頼するかの判断基準を紹介します。

税理士とは

税理士とは税務の専門家で、税務や会計に関連する幅広い業務を行います。

 

税理士の独占業務は以下の3つです。

  • 税務相談

税金に関する簡単な相談や質問への対応から、節税を実現するための専門的な内容まで幅広く扱います。

  • 税務代理

確定申告税務調査の立ち合い等の代行が可能です。

  • 税務書類の作成

確定申告書をはじめ、税務に関する書類作成の代行ができます。

 

独占業務以外にも、以下のように様々な業務に対応します。

  • 記帳代行

  • 給与計算

  • 会計参与

  • 会計・経営コンサルティング

会社設立で税理士に依頼できる内容

税理士は会社設立手続きそのものではなく、会社設立について将来の節税を見据えたアドバイスやサポートが可能です。「そもそも会社を設立するべきか」「会社設立後、会計や税務関連でどのような対応が必要か」といった相談もできます。

 

また、会社設立後には「法人設立届出書」をはじめとした様々な書類の提出が必要です。このような書類作成の代行も税理士に依頼できます。

 

定款関係や法務局での登記申請など、会社設立そのものに関する手続きは税理士の範囲外となります。

税理士へ依頼するかの判断基準

以下のケースに該当する場合、会社設立の前に税理士へ相談するのがおすすめです。

  • 会社設立をするか悩んでいる
  • 税務面で有利になるコツやテクニックを活用して会社を設立したい
  • 会社設立後に必要な各種手続きについて依頼したい

 

会社設立後に必要となる手続きは、これまで紹介した司法書士や行政書士の範囲外となります。会社設立までの手続きは司法書士や行政書士が、設立後の手続きは税理士が対応できるイメージです。

 

なお、会社設立後にやるべき手続きは複数存在する上、中には提出時期が会社設立から5日以内と非常に短いものもあります。そのため会社設立後の手続きのみを依頼したい場合でも、会社設立後に税理士を探し始めるのでは間に合わない恐れが大きいです。

 

後に税理士へ依頼する可能性がある場合、早いうちから税理士探しや相談を進めることをおすすめします。

まとめ


一口に「会社設立を専門家に依頼する」といっても、士業によって対応できる範囲が異なります。そのため、自分が依頼したい内容を明確にしてから依頼先を探すのが効率的です。

 

今回、会社設立に関して対応できる内容や依頼するかの判断基準について、士業別に紹介しました。会社設立の依頼先を選ぶ上での参考にしていただければ幸いです。