会社設立後に必要な手続きとは?提出先・期日・必要書類まで徹底解説!
一般的に会社設立手続きとは法務局での登記申請までを指します。しかし会社設立登記が終わっても、会社運営を始めるためにやるべきことが多く存在します。会社設立後の手続きを進めずにいると、後の手間が大きくなる・追加で費用が発生する等の恐れがあるため注意が必要です。
今回は会社設立後に必要な手続きについて詳しく解説します。
会社設立後の手続き①社会保険関係
会社設立後にやるべき手続きの1つ目は、社会保険関係(健康保険・厚生年金保険)の届出です。すべての法人は社会保険への加入が義務付けられているため、たとえ社長1人の会社でも届出を行う必要があります。
社会保険関係は会社設立後に行う手続きの中で最も期日が早いため、会社設立後すぐに着手するのが安心です。提出書類や手続きの流れについて詳しく解説します。
健康保険・厚生年金保険新規適用届
健康保険・厚生年金保険新規適用届は、社会保険への加入義務がある事務所を開設した場合に必要な届出です。会社設立をすれば自動で社会保険に加入するわけではありません。設立後に会社から届出を行う必要があるのです。
健康保険・厚生年金保険新規適用届の提出時期は事実発生、すなわち会社設立から5日以内です。事業所所在地を管轄する年金事務所へ提出します。
会社の場合、健康保険・厚生年金保険新規適用届とあわせて以下の2つを添付する必要があります。
- 法人の登記簿謄本(原本)
- 法人番号指定通知書等のコピー、または国税庁法人番号公表サイトで確認した法人情報の画面を印刷したもの
被保険者資格取得届
新たに健康保険および厚生年金保険に加入するべき従業員が生じた時に提出が必要な届出です。設立した会社に属するのが社長1人の場合でも、社長が社会保険に加入するために届出をする必要があります。
被保険者資格取得届の提出時期も前述した新規適用届と同様に、事実の発生から5日以内となります。そのため、新規適用届と被保険者資格取得届をあわせて提出すると効率的です。
なお会社設立直後に限らず、従業員の雇用をした場合も雇用から5日以内に被保険者資格取得届を提出する必要があります。
健康保険 被扶養者(異動)届
従業員や役員等の被保険者に扶養家族がいる場合、健康保険 被扶養者(異動)届の提出も必要です。被扶養者(異動)届の提出時期も、事実発生から5日以内に設定されています。
被扶養者(異動)届の添付書類はケースによって異なるため、提出前に日本年金機構の公式サイト等で詳細をご確認ください。
会社設立後の手続き②税務署への届出
税務署への届出は社会保険関係よりは期日が遅めですが、必要書類が多くミスや漏れが起きやすい点に注意が必要です。必要な書類・届出を一度にまとめて提出すると効率的です。
なお、いずれの書類も本店所在地を管轄する税務署へ提出します。
法人設立届出書
会社を含む内国普通法人等を設立した際に必要な届出です。届出の項目は、いずれも定款や登記簿謄本の内容と同じように記載しましょう。
提出時期は会社設立から2ヶ月以内です。定款1部(資本金1億円以上の場合は2部)を添付する必要があります。
給与支払事務所等の開設届出書
給与支払いを行う事務所を解説した時に必要な届出です。会社は原則として給与支払いを行うため、会社設立後には給与支払事務所等の開設届出書も提出する必要があります。従業員を雇っておらず社長1人だけの場合でも、基本的には役員報酬の支払いが発生するため届出が必要です。
給与支払事務所等の開設届出書の提出時期は、事務所開設の事実から1ヶ月以内です。前項で紹介した法人設立届出書よりも提出時期が早い点にご注意ください。
青色申告の承認申請書
青色申告をするために提出が必要な書類です。
青色申告の承認申請書はこれまで紹介した書類と違い、提出が義務付けられているわけではありません。しかし、青色申告にはさまざまな優遇措置が設けられており、税負担を最小限に抑えるには青色申告が必須といえます。したがって、会社設立後に他の書類とあわせて青色申告の承認申請書も提出するのが一般的です。
青色申告の承認申請書の提出時期は、原則として青色申告を行おうとする事業年度開始の日の前日までとなります。ただし会社設立をした年の場合、会社設立から3ヶ月以内に提出すれば設立1期目から青色申告の適用を受けられます。
源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書
源泉所得税の納期の特例の適用を受けるために必要な書類です。
源泉所得税は原則として、徴収した日の翌月10日が納期限となります。ただし、給与の支給人員が常時10人未満の源泉徴収義務者(会社)の場合、届出を行えば源泉所得税の納付を年2回にできます。この仕組みが、源泉所得税の納期の特例です。
源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書の提出期限は特に定められていません。原則として、提出した日の翌月に支払う給与等から納期の特例の適用対象になります。法人設立届出書など、他の書類とあわせて提出するのが良いでしょう。
会社設立後の手続き③自治体への届出
法人住民税や法人事業税に関する届出も必要です。提出先として以下の2つが挙げられます。
- 都道府県税事務所
- 市町村役場
※東京23区の場合、都税事務所への届出のみとなります。
書類の記載項目や提出時期は自治体によって異なるため、必ず公式サイト等でご確認ください。
会社設立後の手続き④法人口座の開設・法人カードの発行
法人口座の開設および法人カードの発行は義務ではありませんが、スムーズな会社運営のためには早めに済ませるのが理想です。特に法人口座の開設は取引や融資・補助金の申込に影響するため、なるべく早めに行いましょう。
必要な書類や手続き完了までにかかる時間は、利用する金融機関やカード会社によって異なります。
会社設立後の手続き⑤労働保険関係
会社設立時に従業員を雇用する場合には、労働保険関係の手続きも必要です。社長1人の場合は労働保険の対象外となるため、労働保険関係の手続きは必要ありません。
労働保険関係の書類の提出先は労働基準監督署とハローワークの2パターンがあります。それぞれ提出が必要な書類と期日を紹介します。
労働基準監督署への提出書類
従業員の雇用に際して、労働基準監督署へ提出が必要な書類は以下の通りです。
- 適用事業報告書:従業員を雇用した後すみやかに提出する必要があります。
- 保険関係成立届:提出時期は、従業員を雇用した翌日から10日以内です。
- 労働保険 概算保険料申告書:労働保険料の見込額を納付するための書類で、雇用の翌日から50日以内に提出する必要があります。
- 就業規則(変更)届:常時10人以上の従業員を使用することになった際に提出が必要です。
ハローワークへの提出書類
ハローワークへ提出が必要な書類は以下の2つです。
- 雇用保険適用事業所設置届
- 雇用保険被保険者資格取得届
いずれも従業員を雇用した日の翌日から10日以内が提出時期となります。
まとめ
法務局での登記申請が受理され会社設立が完了しても、本格的な会社運営を始めるためにはやるべきことが多数あります。明確な期日が設定されている手続きも多いため、不備や漏れを起こさないよう十分な注意が必要です。
今回は会社設立後に必要な手続きについて、書類の提出先や手続きを行う場所別にまとめました。会社設立後の手続きを行う際、本ページの内容を参考にしていただければ幸いです。